お金を借りたら返すのが当たり前ですが、そもそも収入が少なかったら借金を返すのが大きな負担になります。それで借金を返していってもなかなか減らないというケースもあります。このようなときには債務整理をする必要があります。
この記事では、債務整理とは何か、どの種類の手続きをすべきかの目安、債務整理をするタイミングなどについて紹介していきます。
目次
借金生活が苦しいなら債務整理が1つの手段
借金を抱えてしまう理由は人それぞれですが、それを返済するとなると、誰もが苦しい思いをするものです。
返済を苦しく思わないほどお金を持っているならそもそも借金をしないでしょう。したがって、借金を返そうと思ってもなかなか借金が減らずに借金生活がしばらく続くことになります。正社員として会社で働いている場合には給料が安定していますから、返済は比較的まだ楽かもしれませんが、アルバイトやパートといった非正規雇用社員の場合には収入がそもそも低くて不安定なため、生活費を何とか稼ぎながらお金を少しずつ返していくことになります。
借金を返済する生活が続く場合には過払い金が発生している可能性もありますので、弁護士に債務整理を依頼してみるのも1つの手段です。
債務整理とはそもそも何か?
しかしながら、債務整理というのはいったいどういうものなのか知っている人は法律関係の仕事をしている人を除くと、あまり詳しく知らない人がほとんどではないでしょうか。そうした人のために債務整理についてここでまとめてみます。
債務整理というのは借金を減らしたり、支払い猶予を持たせることで、借金のある人がその苦しみから逃れるためにしばしば行われる手続きのことです。債務整理は具体的には4種類あります。1つは過払い金請求という手続きがあります。
過払い金というのは、本来支払わなくてもいいのに必要以上に貸金業者に支払ったお金のことで、過払い金請求とはその支払い過ぎたお金を算出して貸金業者に返還を請求することをいいます。この手続きによって実際にお金が返還される可能性があります。場合によっては、もしかしたら借金生活から抜け出して貯金が増えるかもしれません。
もう1つは任意整理という手続きです。これは借金の減額や金利の見直しを交渉することによって、毎月支払うべきお金を減らして生活上の負担をできるだけ少なくしながら借金を返済していくというものです。任意整理をすることで過払い金があったことが判明することもあります。
この交渉は貸金業者と直接やることになりますので、自分でやることも可能ですが、弁護士などに依頼する方法もあります。3つ目は民事再生という方法です。民事再生というのは現在抱えている借金が返済不可能であることを裁判所に認めてもらった上で、減額された借金を分割で中長期的に返済していくという手続きのことをいいます。
一般的には返済していく期間は3年から5年程度です。借金が5000万円以下の場合は最低返済金額は最大10分の1の500万円にまで減額されることもあります。ただし、住宅ローンはこの例外になります。この民事再生の大きな特徴としては私有財産を失うことなく借金の整理ができるという点にあります。また、民事再生をしたからといって就職において特定の職業に就くことができなくなるというペナルティもありません。
最後に自己破産という4つ目の手続があります。自己破産というのは、借金を返済するだけの財産を持っていないために、返済を支払うことができないということを裁判所に認めてもらうことで、法律上の返済義務を免除してもらうというものです。このときには自身の持っている車、宝石などの高価な私有財産は手放す必要があります。会社の就職において不利を受けることもありませんし、家族にも大きな影響が及ぼすことはないです。
ただし、家族が保証人になっている場合は例外です。債務整理には以上のような4つの手続きがありますが、これらのいずれかを選ぶことで、苦しい支払いから逃れることができたり、取立を止めることができたりするなど、借金生活から救われるのです。もし借金で苦しんでいるなら自分に合っている手続を行うことで明るい未来のために一歩前に進みましょう。
どの種類の債務整理の手続きをするのかの目安
債務整理にはいろいろな種類がありますが、どれが自分にとって適切なのかを手続きをする前に判断しなければいけません。実際には専門家と相談しながらどれにするかを最終的に決定するわけですが、ここでは簡単な基準を紹介します。
まず任意整理をするときには、毎月の収支状況から3年程度で完済できると予測できる場合、法定利息であれば分割であっても将来的に返済することが十分できる場合、車などの私有財産を失いたくない場合などです。こうしたときには任意整理を選ぶ人が多いです。
次に、民事再生をするときには毎月の収支状況を見て3年から5年くらいで完済できる場合、元本を5分の1に減額したら将来的に返済することができる場合、自己破産をしたくなかったり、自己破産ができない場合などです。不思議に思うかもしれませんが、自己破産は自分の意思でやりたいと思っても免責不許可事由があると自己破産はできません。民事再生をするのは任意整理をしたのに貸金業者との間の交渉がうまくいかずに民事再生に踏み切る人もいます。
さらに、自己破産をするときには毎月の収支状況を見て借金を完済するのに少なくとも5年以上はかかる場合、将来的な返済がどう考えても不可能な場合、免責不許可事由がなくて自身が希望している場合などです。どうしても借金が減らないならこうした基準と自身の状況を照らし合わせたり、専門家と話し合うことでどの手続きを踏むかを決定するといいでしょう。
債務整理をするときの注意点
債務整理をしたときにはメリットだけでなく注意するべき点もあります。メリットは苦しい借金生活から逃れることができたり、軽減することができたり、人生をもう1度やり直すことができるなどといったことです。
しかしながら、債務整理には注意するべき点もあるのです。たとえば、ブラックリストに載ってクレジットカードを一定期間作ることができなくなることが代表的なものでしょう。ブラックリストに載るというのは信用情報機関の信用情報に事故情報が載るということです。債務整理をしてから5年から7年程度の期間は新しくクレジットカードを作成することができなくなるのです。
もっともこのブラックリストを管理しているのはあくまでも貸金業者のみですから、ブラックリストに載っても知人、友人、家族に知れ渡るといったことはありません。債務整理を実行するのはそこまでのリスクを背負い込むことではないということです。ただし、いくらでも借金をしてもいいというわけではありませんので、その点は誤解がないようにしなければいけません。
また、債務整理をするにしてもいつどのタイミングでやるべきなのかを知っておく必要があります。このまま借金を返していきながら生活をするのも1つの手ですし、債務整理をするのも1つの手ですが、なかなかタイミングが難しいです。年収の3分の1以上が借金なら債務整理に踏み切ってもいいかもしれません。
それというのも、総量規制というものがあって年収の3分の1まで借金をすると、それ以上貸金業者はお金を貸してくれないからです。ここから先は闇金などでお金を借りる必要が出てきますので、この段階になったら債務整理をするといいでしょう。
まとめ
借金が減らない状況になって生活が苦しくなったら、任意整理をすることで解決してみるのも1つの手段です。債務整理には過払い金請求、任意整理、民事再生、自己破産といった4つの手続きがあります。人の状況によってどれを選ぶかは変わりますが、借金が年収の3分の1以上になったら検討してみることをおすすめします。