ギャンブルで負けたとき、さらにギャンブルをすることでその負け分を取り戻そうとする人は少なくありません。特にパチンコの場合、開催日や開催時間が限定されている公営ギャンブルとは違い、一年365日、午前9時頃から午後11時頃までプレイすることが可能なので、負けた直後、精神的に熱くなった状態でお金を借りに行き、引き続き打つことが簡単にできてしまいます。
借金をしてまでパチンコを打ち続けると、やがて借金で首が回らなくなってしまうということを知っておいた方がいいでしょう。
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なぜ借金をしてでも取り返そうとしてしまうのか
パチンコを楽しむ人は大勢いますが、パチンコで負けた時、カードローンやクレジットカードのキャッシングを利用し、借金をしてまで打ち続けて取り返そうとする人というのは、それほど多いわけではありません。
たいていの人は、「今日はだめだった」と諦めて素直に帰るものです。借りたお金を種銭にしてパチンコを打ち続けた場合、それで負けたら借金が残って困ったことになってしまうとわかっているからです。
では、なにがなんでもパチンコで取り返そうとする人の気持ちはどうなっているのでしょうか。もちろん、そういう人すべてが同じ心理状態で動いているわけではありませんが、まずいえるのは、過去に借りたお金でパチンコを打って、実際に負けた分を取り戻した成功体験を持っている可能性が高いということです。過去に借金をして打ち続けたことで事態が劇的に好転した、であるならば、今度もまた同じことが期待できる、そういった気持ちが、パチンコの負けはパチンコで取り返すという行動につながるわけです。
また、パチンコに対して精神的に依存している人は、少しでも多くの当たりを体験したいという欲望に駆られます。これは、脳内にエンドルフィンという物質が分泌されることと関係があります。エンドルフィンというのは、鎮静作用を持つ物質なのですが、パチンコに依存している人は当たったときにこの物質を多く分泌し、そのときに感じる安心感や多幸感が癖になってしまうことで、さらなる当たりを求めて打ち続けてしまうのです。
こういう人は、結果的にプラスマイナスゼロで終わったとしても、朝から晩まで打ち続けて、それなりに当たりを体験できれば精神的にある程度満足します。しかし、5万円、あるいは10万円を使っても一回も当たりを見られなかったということになると、採算は度外視して、とにかく当たりを見たいとお金を借りて打つことがあるのです。
では、お金を借りてまで打ち続ける人は、そのあと、どうなるのでしょうか。短い期間であれば、借りて打ったことで大逆転を果たし、大勝ちにつながった、つまりお金を借りて正解ということはありますが、長い期間、借金をしてパチンコを打ち続けた場合、ほぼ確実に借りられない状況に追い込まれます。カードローンやクレジットカードのキャッシング枠を使い切ってしまうからです。
パチンコは打つお金がないと、当然、勝つことはできなくなるので、勝ったときに借金をまとめて返すということもできなくなります。結果、経済的に破綻してしまうのです。
「パチンコを打ち続けると必ず負けるとは限らない。だって、パチプロとして生活している人がいるじゃないか」と反論する人もいるかもしれませんが、プロとして生活している人は、期待値の高い台、つまり、打ち続けると最終的に勝つ可能性が高い台しか打ちません。彼らは、パチンコ店に入って台をチェックして、もし、勝てる台が一台もないとわかったら、そのまま帰るか別の店に行きます。
しかし、パチンコで負けた時、熱くなってキャッシングをし、そのお金で打ち続けるような人は、打っている台が勝ちやすいとか勝ちにくいとか一切考えず、とにかく当たるまで打つといった風にプラスマイナスを計算できない人が大半なので、最終的にはトータルで負けてしまうのです。
ギャンブルで負けると熱くなって借金をしてしまう人はどうすればいい?
では、パチンコで負けてしまうとついカッとなってしまい、お金を借りてでも打ちたくなるという人はどうすればいいのでしょうか。
負けて家に帰ったあとは、ずっとパチンコのことを考えて、翌日、「今日こそは絶対に勝つ」と思って朝からパチンコ店に行ってしまう、そんな日々が何年も続いているようであれば、まずは一度、自分がパチンコ依存症になっているのではないかと疑った方がいいでしょう。パチンコによる借金が何百万円もあり、それでも一日中、打つことがやめられないというのであれば治療を考えるべきです。「自分は依存症ではない」と、素人が自分で判断するのは無意味なので、依存症の治療を行っている病院へ行ってチェックしてもらうといいでしょう。
人によっては、パチンコを打ち続けている理由が借金によるストレスということもあり得ます。パチンコにはまってしまい、借金をし、債務が増えて生活が圧迫され、返済が遅れて貸金業者から怒られて、そんな毎日が続くことに嫌気がさし、打っている間はすべてを忘れられるパチンコに一層はまってしまうのです。こういう人は、借金問題も解決しなければなりません。パチンコに対して病的にはまっている原因を解決せずに依存症の治療をしても、結局、すぐに元通りになってしまうからです。
親に泣きついて返済してもらうという方法もありますが、親に頼るのは申し訳ない、自分でなんとかしたいというなら債務整理が解決の近道です。たとえば、お金を返すことができず、毎日、かかってくる督促の電話が大変なストレスになっているというような人であれば、弁護士に任意整理を依頼すれば、その時点で督促の電話はかかってこなくなります。
また、債権者と和解できるまでの数ヶ月間は、返済しなくてよくなります。その上で、利息や遅延損害金を除いた元金を分割で返済すればいいという条件で和解できるので、ストレスをかなり減らすことができるでしょう。
注意したいのは、弁護士に依頼して一時的に督促や返済から解放されたという気持ちの緩みで、またパチンコに行ってしまうということです。たとえば、数百万円の借金をしている人であれば、毎月の返済額は10万円を超えるぐらいになりますが、その10万円でパチンコを打ちに行くというのは絶対に避けなければなりません。
任意整理は自己破産と違い、債権者と和解できたら、返済を再開しなければなりません。和解できるまでの、返済しなくていい期間に入った収入はパチンコなどの遊興に使うのではなく、弁護士費用や生活を立て直すための資金に充てるようにしましょう。
一円パチンコやゲームセンターのパチンコなど、あまりお金を使わないパチンコであれば遊んでも大丈夫だろうという考えも甘いです。アルコール依存症の人は、長期間、お酒を断っていても、たった一口、飲んでしまっただけで再び依存症に戻ってしまうことがあります。この現象をスリップといいますが、同じことはパチンコでも起こりえます。パチンコを打たないと決めたら、どんな形式のものであっても打たないようにしましょう。
まとめ
パチンコで負けた時、借金をして続けてしまうような人はいくつかの根深い問題を抱えていることが多いです。ただ、絡み合っている問題をすべてほどき、それぞれをきちんと解決していけば、パチンコ依存からも借金問題からも逃れられる可能性が高いです。
そのためには、まず、自分には依存の問題と借金の問題があるということを自覚し、それを信頼できる人に相談するようにしましょう。最終的にはパチンコ依存の問題は医者と、借金の問題は弁護士や司法書士と二人三脚で解決していくことになりますが、途中で投げ出さない限り、なんとかなります。