偏頗弁済は自己破産手続きでの免責不許可事由の一つだが、裁量免責の可能性はある

偏頗弁済は自己破産手続きでの免責不許可事由の一つだが、裁量免責の可能性はある

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2018.11.11

 
 
 
 

 
 
 
 

自己破産の手続きの中で、特定の債権者に偏った返済(偏頗弁済)を行っていたことが判明した場合は、破産法で定める免責不許可事由に該当します。一方、自己破産を申し立てた人の生活状態や借金の理由を考慮した上で、裁判所の判断で免責決定が出るケースもあります。偏頗弁済はどのようなものかを、事例を紹介しながら解説します。

 
 

偏頗弁済とはどのような行為か~3つの事例から考える~

 
 

破産法第252条第1項第3号では免責許可を決定する要件の一つとして、特定の債権者に偏った返済(偏頗弁済)を行っていないことが定められています。特定の債権者へ返済を行う事例として、次の2つが考えられます。

 
 

1つめは、特定のカードローンやクレジットカードを利用し続けるために、他社の借金を返済しないケースです。自分の利益を守るための行動で、破産法での「債権者に特別の利益を与える目的」には該当しないものの、他社への返済を行わないことが「他の債権者を害する」ことと評価されるため、免責不許可事由に該当します。なお、債務を延滞している事実はすべての指定信用情報機関と共有されるため、信用状態が悪化したと判断された場合には現在利用できているカードローン等であっても利用停止になる可能性があります。
 
 

2つめは、親族や友人・勤務先からの借金を優先して返済することです。破産手続きでは債権者平等の原則のもと、債権者が対等の立場で債権額に応じた配当を行う手続きが行われます。他の債権者へ返済する分を親族等の返済に充てることは、特定の債権者に特別な利益を与えるだけでなく、他の債権者の弁済を受ける権利を害しているため、債権者を不平等に取り扱っていると判断されることになります。親族等の借金を帳消しとせずに将来返済しようと考えて裁判所に債務を申告しなかった場合も、そのことが発覚した場合は「虚偽の債権者名簿の提出」に該当し免責不許可事由となる他、詐欺破産罪に問われる恐れがあるため、親族等の借金も忘れずに申告しましょう。

 
 

 
 
 
 
 
 

 
 
 
 
 
 
 
 

偏頗弁済が判明した場合でも、裁判所の裁量で免責決定が出るケースもある

 
 

免責不許可となった場合は、自己破産のメリットの一つである債務の免除を受けることができず、残った借金を返し続けることになります。一方、破産法第252項第2項では破産者の経済的更生を図る観点から、免責不許可事由がある場合でも、破産手続開始の決定に至った経緯や事情を考慮して免責許可の決定(裁量免責)ができると定められています。偏頗弁済が判明した場合は、裁判所の判断により管財事件として取り扱われる可能性があります。破産管財人が選任され、免責が妥当かどうかを徹底的に調査した上で免責決定の可否を判断するためです。
 
 

免責不許可事由がある場合、破産審尋の際に免責不許可事由となる行為を反省していることを裁判官に伝えることが重要です。また、偏頗弁済を行っていた場合にはその事情を細かく質問されるため、事前の準備も大切となってきます。同時廃止事件での手続きが決定した場合は1~2か月程度で免責審尋を経て免責許可決定が出されますが、管財事件での手続きが決定した場合は免責調査に数か月を要する他、破産管財人を選任する費用として20万円程度の予納金が必要です。予納金は一括納付が基本であるため、お金ができるまでは手続きがストップすることとなります。自己破産手続きをスムーズかつ有利に進めるために、弁護士のサポートを受けることも必要でしょう。

 
 

 
 
 
 
 
 
 
 

 
 
 
 
 
 
 
 

借金を返せないと思った時点で、すべての返済をストップして専門家に相談を

 
 

自己破産手続きの中で偏頗弁済が判明した場合は、借金をすることになった事情や偏頗弁済を行った理由などを厳しく審査され、免責決定へのハードルが高くなってしまいます。借金の返済を続けることが難しいと感じたら、すべての返済をストップして債務整理方法を検討することが、自己破産で免責決定を得る上では大切なプロセスの一つと考えられます。

 
 

 
 

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