【債務整理・個人再生】弁護士に相談・依頼から借金減額までの道のり・必要な書類や手続きの流れをわかりやすく解説

個人再生とはどのような手続きかご存知ですか。個人再生に失敗するケースもあり、しっかりと必要事項について確認することが大切です。個人再生は専門家に依頼することも多く、依頼から借金減額までの流れを知っておいた方がいいでしょう。そこで、個人再生の必要な書類や相場費用・失敗する原因や対策についてご説明します。個人再生を検討している場合は、参考にしてみてください。

目次

債務整理の一つである「個人再生」とは

個人再生とは裁判所を通して行う債務整理で、債務額を減額する方法です。債務額は約5分の1まで減額されます。また、住宅ローン特例が利用できることも特徴です。個人再生をしている間も、住宅ローンを支払い続けることができ、住宅などの財産を残すことができます。住宅ローン特例は、本人所有の住宅で居住していることが条件です。個人再生には「小規模個人再生」「給与所得者等再生」の2種類があります。この違いは、返済する金額を表す「最低弁済額」の違いです。小規模個人再生では、自営業やアルバイトで働いている人が行います。給与所得等再生は、安定した収入源があり、収入の変動が少ない人を対象にするものです。
 
 個人再生の条件として、「継続した収入があり計画に沿って弁済できる」「債務総額が5000万円以下」があります。小規模個人再生では「債務者の半数以上が同意」、給与所得者等再生では「過去7年以内に個人再生や破産の手続きをしていない」も条件です。個人再生のメリットとは、債務額を減額できること、賃金業者からの督促がなくなることでしょう。また、住宅などの財産を処分しなくても債務整理できることもメリットです。デメリットは、信用情報や官報に個人再生手続きの履歴が残ることになります。

個人再生手続きの流れとは?

個人再生の手続きでは、担当する裁判所によって異なる場合があります。特に、「個人再生委員を選任するか」「選任した時にその人と面談はするか」「履行テスト(積立トレーニング)はあるか」などは、裁判所ごとに異なってくるでしょう。個人再生委員とは、申立をした後に選ばれる人で、債務整理などに詳しい弁護士などがなります。申立人の収支や財産・負債状況を調べ、個人再生の計画や指導・履行テストなどが仕事内容です。裁判所が行う個人再生手続きの補助をする役割があります。履行テストとは積立トレーニングとも言われ、決められた期間にしっかりと返済できるかのテストです。手続き中に銀行口座を開設し、手続き後に支払う額を入金できるか、数ヶ月間試していきます。もし、入金遅れや未入金などがあれば、返済できる能力がないと判断され、個人再生手続きは認められません。
 
 手続きの流れとして、「申立・個人再生委員との面談や債務調査・再生計画案を提出・再生計画案の認可または不認可を決定・弁済を開始」の順で行います。最初は裁判所に書類を提出し、申立を行うことからです。必要な書類を提出し、個人再生委員の選任を待ちます。個人再生委員が決定した後は、面談で申立内容の確認が必要です。面談後に手続きを開始するか決め、履行テストも同時に始めます。債務額の確定後には、財産状況や履行テストの結果を踏まえた再生計画案の提出が重要です。再生計画案に対して意見聴取なども行い、認可するかを決めます。再生計画案の認可では、小規模個人再生の場合は書面決議です。しかし、給与所得者等再生手続きでは、意見聴取が必要になるでしょう。債権者の意見や履行実現性などで判断して、数ヶ月後に認可されるかが決定します。個人再生の認可がされた後は、弁済開始です。しっかりと再生計画案に沿って返済していかないと、取り消しになる可能性があります。

個人再生に必要な書類と相場費用を知ろう

個人再生に必要な書類として、「申立書・陳述書・債権者一覧・財産目録・家計表」があります。申立書とは、申立人の特定をする書類で、氏名や住所・電話番号などの記載が必要です。戸籍謄本や住民票などを用意します。陳述書とは収入や職業・財産などを明らかにするもので、給料明細書や所得課税証明書・通帳のコピーなどです。借入先を明確にするために、債権者一覧も作成します。借用書や返済予定表・督促状などを用意しましょう。所有する財産を示す財産目録には、現金や預貯金・不動産などの財産を書いていきます。売掛金や貸付金がある場合は、相手の名前と金額・回収できる見込みの記載も大切です。現在の収支状況をまとめた家計表には、配偶者の給与との収入総額を明確にしてから、家賃・光熱費・保険・生活費・ローン額などを記載します。住宅ローン特例を利用する時には、申立書にある「住宅資金特別条項」にレ点を付けましょう。手続きの際には「住宅ローン契約書・返済額一覧表」の書類が必要です。
 
 個人再生では、「裁判所に支払う費用」と「弁護士などの専門家へ支払う費用」があります。裁判所に支払う実費として、申立手数料の1万円が必要です。官報公告費用などの予納金や連絡時の郵便切手代として数万円も支払います。個人再生委員への予納金は、約15万円~25万円です。代理人弁護士がいる場合は約15万円で、債務者本人が申立をする時は約25万円になります。弁護士などの専門家に依頼する時は、着手金や申立時の費用・事務手数料などが必要です。相場費用として、住宅ローン特例利用時には約40万~60万円、利用しない時には約30万~50万円になります。その他に、実費や事務手数料もかかるでしょう。

個人再生に失敗する原因と対策

個人再生に失敗するケースとは、「申立の棄却」「再生計画案が不認可」「債務者が再生計画を実行できない」などです。実現不可能な再生計画を立ててしまうと、個人再生に失敗する可能性があります。申立の棄却とは棄却事由に該当している場合で、費用予納がない時や不当な目的の場合です。再生計画案は、債権者の過半数以上が同意しないと認可されません。また、履行テストで入金の滞りがあると、不認可になります。再生計画を実行できずに滞納した場合は、債権者からの再生計画取り消しの申立があるでしょう。
 
 個人再生に失敗しないためには、数種類ある債務整理方法の中で合っているかを確認する必要があります。個人再生以外にも、任意整理や自己破産などの手続きもあるので、それぞれの特徴を理解してから検討するといいでしょう。定期的に収入がある場合は、個人再生が合っています。しかし、裁判所を通したくない時は任意整理です。定期的な収入がなく、返せる見込みがない時には自己破産を選択することになるでしょう。また、個人再生は面談などをすることが多いので、申請書類や手続き内容に関して理解し、尋ねられた時には答えられるようにすることも大切です。

個人再生をする前には、事前に必要なことを知ろう

個人再生の手続きをする場合には、自分に合っている方法かを調べることが大切です。その後、必要な書類や相場費用についても理解しましょう。個人再生に失敗するケースをあらかじめ知っておくことで、失敗を回避することができます。これを参考に、申立から借金減額までの流れや必要事項を理解し、個人再生の検討をしてみてください。

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