時には生活の助けになるリボ払いも、使い方を誤ると借金地獄になる可能性あり
借金をする人には様々な事情があり、一概に責められるものではありません。特に派遣やアルバイトで生計を立てている非正規雇用者にとって、クレジットカードは生命線であると言えるでしょう。とはいえ、使い方を誤ると大変です。最初は数万円であった月々の返済額が、徐々に桁を上げて行き、気付けば返済不能に陥っていたということも珍しくありません。ここでは、そんな過ちを犯してしまった人たちへの解決策を提供していきます。
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リボ払いの怖さ
クレジットカードは、決してお金持ちだけが使うものではありません。むしろ、日々の生活に困窮する人たちが生活のつなぎとして利用しているケースが多いと言えるでしょう。その結果、借金地獄という悲劇に陥っているのです。では、何が原因で返済不能な状態になってしまったのでしょうか。端的に言い表すならば「リボ払いの便利さに甘えてしまっていた」ことが元凶であると言えるでしょう。確かに、クレジットカードのリボ払いを利用すれば、翌月以降の収入から無理なく返済して行くことが可能です。利息も、消費者金融と比較すれば遥かに良心的であると言えるでしょう。
特に収入の安定しない非正規で働いているような方々にとっては、日々の生活費はもちろん、急な医療費が発生した際や就職・転職活動費、時には引越しなど、小規模なものから高額な出費まで、すぐに用立ててくれるのがクレジットカードという強い味方です。しかし、その日の生活を乗り切るために利用しているカードの支払い額は、発行したての頃の数万円から徐々に10万円を超える額へと、毎月の返済額が増して行くことが容易に想像できるでしょう。生活の全てをカードに頼っている人は、返済のために他のカードを利用することもあるので、2~3社、或いはそれ以上の枚数を所持して使いまわすことになります。仮に収入が安定するようになったとしても、月々の返済だけで給料がなくなってしまうというような状態に陥ってしまえば、あとは「支払ってはまた使う」の繰り返しとなります。これが、リボ払いが招く借金地獄の怖さなのです。
陥ってしまった借金地獄、どう抜け出せば良い?
クレジットカードに依存して生活してきた人にとって、借金地獄の次に怖いものは、皮肉にもカードを失うことなのです。そのため、毎月の返済地獄から抜け出したいけれど、方法が分からない、或いは分かっていたとしてもカードを失いたくないという思いが強いために、なかなか踏ん切りが付かず、膨れ上がった支払い額に手がつけられず、最終的には滞納してしまい、結局カードを利用できない状況に追いやられてしまうという人も少なくありません。そうなってしまうと、カードで生活していた人は現状必要なお金も用意できなくなるため、益々生活が困窮してしまうのです。一番良い方法としては、出来るだけ早い段階で取るべき方向性を決めて、適切な手続きにより生活の安定を取り戻すように試みることです。稀に、ショッピング枠(リボ払い)で使った借金では債務整理ができないと考える人がいるようですが、決してそのようなことはありません。そこは安心してください。
その他の悩みで多いのは、やはり、今後カードを持てなくなってしまうのではないかというものですが、これは避けようのない問題です。いずれにしても返済を滞っていれば信用機関に事故情報(いわゆるブラックリストの状態)が記録されてしまうため、国内の金融機関からローンや新たなカードを発行することが不可能となります。特に、債務整理の中でも自己破産を選択した場合には、借金から解放されてもその後の人生に不安を抱いてしまいがちです。確かに、破産宣告を行えば、免責が下りることで全ての債務が消滅しますが、自己破産者の記録は最長で10年間(KSCの場合)事故情報が保管されてしまうため、相応のペナルティを負うことにはなるでしょう。加えて、責任感の強い人には罪悪感のようなものさえ芽生えてしまうこともあります。それを回避したいという人にお勧めできる方法の一つとして、任意整理という債務整理があります。
任意整理を利用するメリットとは?
任意整理とは、個人再生や自己破産など、合計4種類ある債務整理の方法のうちの一つであり、債務者にとって利用しやすい手続きであるとされています。任意整理では、破産手続きのように借金が全て消滅して返済の義務を失うということはありません。手続きの意義としては、債権者(カード会社)と直接交渉を行い、借金の返済金額や方法を決め直すことで、債務者の負担を最小限に抑えた無理のない返済を行っていくものと言えます。交渉次第では、返済金額を減額してもらうことや、返済期間の延期、利息のカットをしてもらうこともできるのです。カード会社と話し合った結果、リボ払いの元本自体が減額されなかったとしても、毎月の返済で負担となっていた利息を免除してもらうことができれば、相当な負担軽減となるでしょう。クレジットカードでは、ショッピング、キャッシングともに10%を超える利息が発生しています。そもそも返済不能に陥ってしまった原因が利息の存在であるとも言えるため、その部分をカットしてもらえるというのは債務者にとっては大きなメリットとなります。
では、返済金額と期間の調整を行った場合、だいたいどれくらいの期間で返して行くことになるのでしょうか。任意整理を終えたあとは、一般的には3~5年以内で全額返済できるように設定するものとされています。しかし、債務者の都合により、どうしても困難である場合には、最長で7年間まで引きのばしてもらうことも可能です。「結局返すことになるのか」と落胆する必要はありません。利息免除による借金の減額や無理のない期間の設定で精神的な余裕も生まれますし、何よりも債権回収の催促がなくなるという安心感も得られます。そして、時間がかかっても返済するという姿勢を示すことで、カード会社の印象も変わってくるのです。この辺りは、破産者との違いであると言えます。
任意整理を行う前に覚えておきたいこと
債務整理の一種である任意整理が、借金を返済することで責任を果たせ、債権者の信頼を裏切らない方法であることは間違いありません。ただし、借金をしたこと、一定の条件のもとで返済するという特別な状態であることは事実です。当然、メリットだけではないことを覚えておきましょう。先ず、個人信用情報への事故記録は残ってしまいます。これは避けられません。しかし、早期に任意整理を済ませ、返済を完了することで、結果的にはブラックリストから削除されると考えることもできます。
何より、しっかりと返済できた、可能な範囲で責任を果たせたという気持ちが持てること、後にカードを再び所持した際に、以前のような過ちを犯さないように、気を付けて使うようになっているという将来への期待も持てるようになります。尚、クレジットカードのショッピング枠では、消費者金融のような高額な利息は発生しないため、利息制限法による引き直し計算をしたところで過払い金の請求はできません。そのため借金の減額を行うことは不可能と考えておいてください。しかし、悪いことばかりではありません。任意整理の手続き完了から5年が経過すれば、再びカードを所持することが可能です。
まとめ
ここまでリボ払いによる借金地獄の抜け出し方として任意整理を紹介してきました。この方法は、再び、できるだけ早期にカードを所持したい人や責任感の強い、真面目な債務者にとっては精神的な負担を軽減してくれる良い債務整理手段であると考えられます。もちろん、債務者各自の生活や収入状況次第では破産もやむを得ないことがあるでしょう。それについては随時、弁護士、司法書士などの専門家を交えて話し合いを行う必要があります。状況に合わせた債務整理により、多くの債務者が借金から解放されることを願っています。