奨学金を返済できない場合はどうすればいいのか

大学や高校に進学する際、奨学金を借りるという人は少なくありません。ただ一部の奨学金は後で返済しなければいけない義務を背負うため、借金をして学費を借りていることを理解する必要があります。そして奨学金を借りている人の中には、何らかの理由で返済できなくなってしまう人もいるようです。

そこで今回は、奨学金を返済できない場合の対処法について解説します。

目次

奨学金とは何か

奨学金とは、学習意欲がある生徒に対して給付または貸与される学費や生活費のことを指しています。一般的には大学または高校側の奨学金制度や日本学生支援機構の奨学金制度を利用することによって給付または貸与してもらえますが、一定の条件を満たさなければ利用できないものも多いので注意が必要です。

一般的には日本学生支援機構の奨学金制度が有名ですが、それ以外にも大学独自の制度や地方自治体の制度など色々なところが奨学金を給付または貸与しています。そんな奨学金は給付してもらえるタイプのものであれば返済する必要がないと言われており、徐々にこちらのタイプの制度が導入されつつあります。特に低所得者向けの奨学金制度に多いので、金銭面の理由で学校に進学が難しい人におすすめです。

ただ給付ではなく貸与するタイプの奨学金には返済義務が設けられており、制度によっては返済期間が決められているものもあります。さらに無利子の貸与だけではなく有利子の貸与もあるので、利用する際には返済期間や金額、利子がどのようになっているのか調べておかなければいけません。

奨学金が返済できないとどうなる?

このような奨学金制度で問題となっているのが、「奨学金を貸与してもらっても返済できない」という人が増えていることです。その理由には様々ケースがあると言われています。

そこで気になってくるのが、奨学金を返済できない場合はどのようなことになるのかという点です。

まず返済が滞った時点で、利用している奨学金制度の団体または銀行から返済に関する催促の連絡が来ます。それでも返済しないまたはできない場合、借りている団体によっては返済を求める裁判手続きなどの法的な措置を取られてしまうのです。ただ措置を取られる前に通知が来るので、その段階で返済すれば手続きは行われません。

そして裁判が行われた場合には基本的に滞納者が不利なので、特別な理由がない限りは支払い命令が裁判所から下されます。それでも返済しないと財産の差し押さえや強制執行にまで踏み切られてしまうので、ほぼ強制的に滞納分を徴収されるのです。

ちなみに日本学生支援機構の奨学金制度などの一部の制度や団体の場合、一定期間滞納すると個人信用情報機関に登録されてしまいます。そうなるとブラックリストに掲載されてしまうので、クレジットカードやローンが利用できないという不利益を生じることになります。

返済できない場合の対処法1:減額返還

もしも奨学金を返済できない場合には、2つの対処法があります。それが「減額返還」や「返済猶予願」と呼ばれるもので、これらを利用することによって返済期間を延長できたり月々の返済金額や負担を軽減させることが可能です。

まず奨学金を借りる時には、月々どの程度の金額で返済していくのかという契約を交わします。これによって毎月契約した金額を返済していくのですが、この返済金額を半分程度まで減額してもらうことができるのが「減額返還」です。あくまで一定期間のみではありますが、例えば収入が減ってしまったり出費が多い時に利用すれば返済にかかってくる負担を軽減できます。そうすることで返済を滞らせずに続けられるので、返済できない時のペナルティを回避できると言われています。

ただし減額返還はあくまでも一定期間のみなのでずっと利用できるわけではありませんし、減額した分返済期間が延長されてしまうので注意が必要です。また制度を利用するためにはいくつかの条件があり、その中には年収が300万円以下であることや申し出の時点で延滞していないことが挙げられています。

返済できない場合の対処法2:返済猶予願

そしてもう一つの対処法である「返済猶予願」は、月々の返済を一時的に止めてもらうためのお願いです。これは返済が困難な状態に陥った場合に利用されている方法で、年収が300万円以下など一定の条件を満たすことで利用することができます。申し出が審査を通過すれば一定期間の返済猶予が与えられ、その期間は返済しなくてもいいと認められるのです。

こちらの制度の注意点としては、あくまで返済を一時的に止めてもらうだけであり返済義務がなくなるわけではありません。このため猶予期間を過ぎれば返済を再開しなければいけないので、いつ頃であれば返済が可能になるのかを記載しておきます。この時、記載した時期よりも早く返済が可能になっても問題はないので早めに返済を再開するのがおすすめです。

また申し出る際の理由や内容によっては審査を通過しない場合もあるので、申し出れば必ず猶予がもらえるわけではない点も理解しておく必要があります。一般的には災害や傷病、失業や経済面でのトラブルが起きた場合などが理由として挙げられているので、本当に返済が困難な状態なのかどうか手続きをする際に明確に記載しておかなければいけません。

対処法を利用する際の注意点

このように奨学金が返済できない場合でも、「減額返還」や「返済猶予願」などの手続きをすることによってある程度対処することが可能です。

ただし注意しなければいけないのが、いずれの対処法も条件が設定されている点です。条件としては主に「年収が300万円以下であること」や「申請をする前に滞納していないこと」などが挙げられているので、自分が条件を満たしているのかどうか確認してから申請する必要があります。特に申請前に滞納していないかどうかは重要なポイントの一つで、滞納してからの手続きはできないので返済できないとわかった時点で早目に対処しなければいけません。

またいずれもあくまで一定期間のみの適応となっていますし、期間を過ぎれば通常通りの返済計画で対応しなければいけません。このため奨学金の返済計画そのものが変更されるわけではありませんし、返済義務がなくなるというわけでもないのです。そのためいずれの対処法も利用できない人はもちろん、対処法を利用しても奨学金を返済できない場合には債務整理を行う必要が出てきます。

実は奨学金は債務整理によって、返済総額を減額することができます。ただ奨学金の特性から任意整理はできないとされているので、個人再生で返済総額を減らすか自己破産で保証人に負担してもらうかの2択になります。ちなみに個人再生の場合でも減額分は保証人が負担することになるので、債務整理をする際には保証人に事前に連絡をしておくのがおすすめです。

まとめ

もしも借りた奨学金が返済できない場合には、「減額返還」や「返済猶予願」などの方法を利用することによって返済にかかる負担を一時的に軽減させることができます。利用するためには一定の条件を満たす必要はありますが、早めに手続きをしておけば最終的に返済できるように調整することが可能です。

このような対処法が何らかの理由で利用できない場合におすすめなのが、債務整理による返済総額の減額です。ただし任意整理は利用できないので個人再生と自己破産のどちらかを選ぶことになるほか、減額された返済額は保証人が負担するようになります。場合によっては保証人も一緒に債務整理を行う可能性もあるので、保証人と一緒に債務整理に関して問い合わせをするのが大切です。

(Visited 1 times, 1 visits today)