債務整理をしたい時はどこに相談すればよいか

借金問題は、自分一人で悩んでいてもなかなか解決しません。そのため、今よりも負担を軽くするための債務整理の手続きについて、専門家や詳しい人に相談したり、必要な手続きをサポートしてもらったりするのが望ましいです。しかし普段あまり関わることのない案件ですので、勝手がわからずにためらう人も少なくありません。そこでこちらでは、債務整理の相談をするときの流れや準備しておくべきこと、相談先などについてご紹介していきます。

目次

債務整理にはどんなものがある?

借金が全額は払えないと感じるようになったら、そのまま放置せずに何らかの対策をとらなければなりません。借金は返し続けても残りの金額に利息が加算され続けますし、払えなくなったらさらに高利の損害金を課せられてしまうからです。ただし、対策といっても方法は一つに限られているわけではありません。自分の現状に合った方法を選ばなければ、今よりも負担が大きくなることすらあります。そこで、まずは債務整理の種類について大まかに見ていきましょう。

・任意整理
債権者に今の状態では払えないということを伝え、月々の支払額を減らしてもらう手続きを任意整理といいます。相手と話し合ってお互いに納得いく内容がまとまれば、和解書を交わして支払方法を変更できます。例えば、毎月1万円ずつ払っていたものが、最終支払日の期限を伸ばして毎月5000円になれば、支払いはずっと楽になるでしょう。この手続きのメリットは、債務整理のための費用がほとんどかからないこと、和解までの時間が早いことです。債権者によっては、和解締結後の支払いについては無利息になるケースも見られます。一方で、お互いが納得できるポイントを見つけられなかった場合、和解ができないので他の債務整理の手続きをし直さなければなりません。また、自分で手続きをするときには、相手が知識もあり、場慣れしている社員ということもあって、不利な条件を結ばされる可能性もあります。
 
 ・特定調停
任意整理のように、お互いの落としどころを見つける作業を裁判所で行うのが特定調停です。大きく違う点は、話し合いが裁判所で行われること、1対1ではなく、調停委員が加わって公平な内容になるようにサポートしてくれるところなどです。特定調停の場合、債権者もきちんと利息を引き直した残高を提示してきますし、返済プランに関しても、無茶な条件を出さなければ前向きに対応してもらえます。一方、裁判所の手続きなので定型の書式で申立書やその他書類を作成しなければならず、慣れない人にとっては手間が煩雑です。また、月に1回のペースで調停が行われるため、和解締結までの時間が長くなることも少なくありません。

・自己破産
借金を払いきれないと感じた時に選ぶ手続きが、自己破産です。自己破産というのは大きく分けて2つの手続きになっており、まず、借金を払えないと裁判所に判断されて財産を失う自己破産の決定を受けます。次に、払えない借金の支払い義務を免除される免責の決定を受けます。自己破産の決定は誰でも受けられますが、免責が受けられるケースは、やむを得ない事情で借入をした人、ギャンブルや浪費などのための借金をしていない人など、条件付きです。免責を受けることができれば、100万円を残して他の財産は返済に充てて、残りについては全額免除されます。ただし、財産を持っていて管財人がつく場合、裁判所に数十万~100万円以上の予納金を納めなければならない、一度自己破産をした場合には7年間は破産ができない、官報に住所氏名付きで破産したことが掲載されるため、闇金業者などから連絡が来るようになるなどのリスクもあります。車や住宅も失うため、財産をほとんど持っていない人がとりやすい手続きです。
  
・個人再生
借金を払いきるのは難しいが、持ち家にはそのまま住み続けたい、全額返すのは無理でも、一部だけは返済したいというときにとられるのが、個人民事再生です。この手続きは、住宅ローンはこれまで通りの約定で支払い続け、残りの借金については、借入残高の5分の一、もしくは100万円のいずれか高額な方を3~5年かけて返済していくというものです。この金額を払い終わったときには、残りの借金については免除され、住宅にも差し押さえなどが来ず、そのまま住み続けることができます。ただし、自己破産同様に官報には掲載されますし、住宅ローンの返済は変更できないため、住宅ローンが借金の大半という場合には、あまり負担が軽減されません。
  
・過払い金請求
2010年以前に借金をしており、何年も返済を続けている人の場合、法律で制限されている利息よりも高い金利で返しているケースがあります。その場合は、本来の利息を超えたものは元本の返済に振り替えますが、これが続くと元本も返し終わっている可能性があるのです。見た目は借金が残っているように見えても実際には払い過ぎている場合、払い過ぎたお金を金融業者に返すように請求できます。これを過払い金請求といいますが、話し合いでは払い過ぎた額の一部しか戻ってきません。そのため、裁判所に訴えて全額または高い割合の回収を目指しますが、費用や時間がかかるため、請求額に応じて対応を決めます。

これらが債務整理の代表的な手続きです。このほかにも、親などの借金を相続しそうなときには相続放棄をするなど、個別の問題に応じた対策があります。

債務整理の相談先や相談の流れ

債務整理の手続きは、人によって最適な手段が異なりますし、相談員がいろいろな方法を知らなければ最適な手続きを教えてもらえない可能性もあります。そのため、相談するときには債務整理の手続きに詳しい弁護士や司法書士などの専門家や、市役所など行政の相談員などを選ぶとよいでしょう。専門家の事務所は予約をすれば大体いつでも受け付けてもらえますが、無料相談会では相談料が無料にはなるものの完全予約制となっており、開催時期も限られています。
  
複数の事務所があって相談先に迷っている時などは、法テラスや弁護士会、司法書士会などに問い合わせてみるのも一つの方法です。相談内容に応じて、相談者の近くの事務所や必要な手続きに精通している専門家などを紹介してもらえます。
相談先が決まったら、原則予約を入れます。弁護士会や自治体が主催して相談会を開催する場合には、広報などで情報が出ますので、問い合わせ先に連絡を入れましょう。専門家の事務所に直接相談に行くときは、その事務所に電話やメールなどでコンタクトをとり、決められた日時に事務所を訪問します。
  
通常、相談時間は一人あたり30分となっており、時間をオーバーすると相談料が増額になったり、次の相談者の番になったりするため、時間内に説明できるように準備をしておいた方がよいでしょう。相談者が先に説明をして、そのあと専門家から質問されるというパターンもあれば、最初から専門家が債権者数や借入残高などについて質問をしてきて、相談者がそれに答えるだけというパターンもあります。いずれの場合でも、おおよその状況が分かった時点で専門家からとるべき手続について説明がなされ、費用やその手続きのメリット・デメリットなどについても教えてもらえます。その上で、自分で手続きをするか、専門家に依頼するか、他の専門家のところでも話を聞いて決定するかなど、判断をしましょう。依頼するかどうかについてはその場で決める必要はありません。

相談の時に必要なもの

債務整理の相談でほぼ確実に聞かれるのが、何社から借り入れをしているか、債権者はどこか、いつごろからの借金かなどです。正確な金額は必要ないにしても、大体どれくらい残っているのかは確認しておいた方がよいでしょう。借入時期については、契約書が残っていればそちらを見ればわかりますが、処分している時はおおよその時期だけでも大丈夫です。できればメモで構いませんので、債権者名と借り入れの時期、借入残高などをリストにして持って行きましょう。請求書や契約書などが手元に残っている場合には、それらも持って行くと参考になります。相手から督促や差し押さえをされている時は、それらの書面も持参しましょう。特に、大手ではなくあまり目にしない金融業者の場合、ホームページなどがなく、住所や正確な債権者名を調べにくいことがあります。紛らわしい業者名もありますし、手元の資料は全部持って行った方が安心です。
  
次に、どれくらいの返済ができるかを見るために家計表も必要です。こちらも大体の金額で問題ありませんが、世帯全体の収入と支出を項目ごとに書いておきましょう。収入から支出を差し引き、その差額の範囲内で返済計画を立てる必要があります。そのため、あまりぎりぎりの生活の支出を書くのではなく、若干余裕のある生活をした時の支出を書いておいた方がよいでしょう。
実際に手続きを依頼する場合には、このほかに認印が必要です。専門家との間で委任契約を交わすときや、手続きを依頼するときの委任状を書くときなどに必要です。手元にない時、後日正式に依頼する予定の時は、日を改めて持参すれば構わないため、忘れても問題はありません。また、債務整理をするとき、まずは専門家から各債権者宛に受任通知を発送します。この時点でキャッシングのカードなどは使えなくなりますので、カード類もまとめて渡しておきましょう。債権者の中には、これらのカードの返却を求めてくるところも多いため、専門家に一任してこれらの手続きもしてもらうのです。

債務整理のリスクは?

債務整理をした場合、どのような手続きであっても、信用情報にその内容が記載されます。信用情報というのはいわゆるブラックリストと呼ばれるもので、こちらに長期の滞納や債務整理などの内容が記載されていると、借入を申し込んだときに審査に通らない可能性が高くなります。登録されている期間は、どのような金融事故を起こしたのかによっても異なりますが、一般的には5~7年の間は新たに借金ができなくなると考えておいた方がよいでしょう。また、今回債務整理をした相手の金融業者とは、信用情報の登録内容が消去された後も、半永久的に取引ができなくなることがほとんどです。多数の金融業者から借り入れをして、債務整理を行ったときは、将来的に車などの購入や教育ローンを申し込んだとき、審査に落ちる可能性があることも考慮に入れておきましょう。

それから、高額商品を購入してローンが未払いの場合などは、手続きによっては商品を引き揚げられることがあります。例えば、車を購入してローン半ばで債務整理をしたとき、債権者が車を引き揚げて中古車として売却し、その売却代金を借金の残額から差し引くという流れです。このケースで言えば、車がなければ不便な地域に住んでいる人にとっては大きなリスクとなり得ますので、債務者を家族の誰かに替わってもらう、身内に一括払いで立て替えてもらうなどの個別の対策が必要となります。
 
 さらに、保証人付きの借金をしていた場合には、自分が債務整理をすることで保証人に請求が行く恐れがあります。任意整理のように全額返済をするケースでは、約定通りに返している間は保証人に請求することはほとんどありません。しかし、自己破産や個人再生のように借金を全額回収することができないケースでは、すぐに保証人に請求する債権者が多いです。懇意にしている保証人に迷惑がかかる恐れがあるときは、あらかじめその旨を伝えておいたり、一緒に専門家のもとに相談に行ったりすることをおすすめします。

まとめ

このように、債務整理の内容や相談するときに必要なものなどについてある程度知っておくと、実際に話を聞いてもらうときにも要点を抑えて説明ができるようになります。その結果、自分が置かれている状況にぴったりの債務整理の方法を提示してもらえますので、面倒だと思っても準備を進めておきましょう。なお、債務整理の相談をした相手が弁護士や司法書士などの法律的な専門家であれば、そのまま手続きを依頼することも可能です。もちろん、アドバイスを受けて自分で勧められた手続きを行うことも可能ですので、予算や手続きの難易度などに応じて判断するとよいでしょう。いずれにしても、借金苦から抜け出すための道筋が見えてくると、返済や手続きに向けてのモチベーションも上がりますし、現状よりも状況を改善できる可能性が高くなります。できるだけ早めに相談に向かいましょう。

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