借金を相続しない方法|故人の負債は親族に返済の義務はあるのかについて
親などが亡くなった際、その親が生前に借金を抱えていた場合に問題となるのが、残された借金の返済です。この場合、亡くなった人の遺族にあたる人間は、連帯保証人でなくても借金返済の義務が生じるのでしょうか。今回は、相続の際に被相続人に借金が発覚した場合、借金返済の義務は誰が請け負うのかなどについて詳しく解説します。
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親族の借金返済をする義務はない
例えば、亡くなった自分の親が生前に借金を抱えていたことが発覚した場合、残された家族や親族などの相続人が、借金返済の義務を背負うと思っている人もいることでしょう。しかし、その考えは間違いです。亡くなった人が生前に残した借金は、連帯保証人にあたる人に対しては返済の義務が生じます。しかし、それ以外の家族や親族であっても、身内である親族が生前につくった借金の支払い義務は一般的には発生しません。
それは、どの種類の借金であっても同様で、消費者金融や銀行カードローンでの借り入れ、住宅ローン、業者からでない個人間で行った借金でさえ、返済義務は生じないのです。なかには、生前にお金を貸した闇金などの悪徳な業者や粗暴な人物から、金を返せと脅されるケースもあるかもしれません。しかし、残された家族や親族には返済義務は発生しないので、返済拒否をしなければいけません。どうしても、借金返済をしつこく要求された場合は、弁護士などに相談をして、自身が返済義務がないことを法律に照らし合わせて証明することも必要です。
相続人になったら、借金も相続することに!
家族・親族だからといって、無条件に亡くなった人の借金を抱える義務はありませんが、ある条件を満たした場合、借金返済の義務が発生します。その条件とは、次の3つです。
・連帯保証人になっている場合
・生活に関するローンを組んでいる場合
・被相続人から相続した場合
連帯保証人は、債務者が借り入れの契約をする際に、同時に債務者の連帯保証人として契約書にサインをします。それにより債務者と同様に返済義務を背負うことになるのです。債権者は、この契約にしたがって債務者と連帯保証人のどちらにも返済を要求できます。また、面倒なのが、本人の知らないところで連帯保証人になっているケースです。実印などは厳重に管理する必要があります。
そして、住宅ローン、自動車ローン、教育ローンなどの生活に関するローンも借金として考えた場合、残された配偶者などに借金返済の義務が発生します。また、消費者金融などから借りたお金を生活費や光熱費にあてていた場合も、返済義務の対象です。ローンを提供している銀行から返済請求をされることはないですが、残された配偶者が月々のローンの支払いを継承しなくてはいけません。
そして、相続人になった場合も、借金を背負う可能性があります。被相続人が残した遺産を相続する権利があるのは、相続人にあたる人です。遺産というのは、被相続人が生前に残した現金や不動産などで、相続人はそれを受け継ぐ権利があります。しかし、遺産は不動産などだけでなく「負の遺産」と呼ばれている借金や連帯保証も、遺産に該当するのです。遺言書がない場合、相続人となるのは被相続人の家族です。それから、被相続人に親族として近い順から相続の権利が発生します。これらの人々が相続人になった場合、被相続人が持っていた借金という遺産まで受け継ぐことになるのです。
借金を相続しないためにはどうすればいいの?
もし、自分が相続人になった場合、現金や不動産など目の前の遺産だけに目をとらわれずに、まず、被相続人に生前借金があったかどうかを調べることが必要です。借金があった場合は不動産などの遺産と借金を相殺した結果、借金のほうが上回るケースもあり、その場合、相続人は借金返済の義務が発生します。自分がつくったわけでもない借金を回避するための対処法は「相続放棄」を選択することです。相続放棄とは、文字通り相続する権利を放棄することで、それにより、すべての遺産の相続の権利がなくなります。
相続放棄をすれば現金や不動産などの遺産をもらうことはできなくなりますが、借金を背負うことも回避できるのです。相続放棄をするには、被相続人が亡くなって3カ月以内に手続きをしなければいけません。手続きをしないで3カ月が経過すれば自動的に相続人となり、借金を背負うことになります。相続放棄は、3カ月以内であれば自分ひとりでいつでも行うことが可能です。しかし、裁判所に申し立てをするため、一連の手続きは手間がかかります。相続放棄をスムーズに行うには、専門家である言語視野司法書士に依頼をすることです。遺産や借金がどれくらいあるのか調べてもらえ、相続放棄に必要な書類の作成・準備などすべて代理で行ってくれます。
借金返済を相続してしまった場合、自分に最善の対処法を実行しよう!
相続で重要なのは、金品や土地などの「プラスの遺産」と借金という「マイナスの遺産」の存在をしっかりと把握することです。借金を背負いたくないからと相続放棄を選んだ場合、被相続人が残した住居や土地も相続する権利を失います。相続人にとっても土地などのプラスの遺産が思い出深いものあった場合は、その思い出の場所も手放すことになるのです。相続を承認するか放棄するか、よく考慮することが大事といえるでしょう。