過払い金が返還されるまでに必要な書類はどれだけあるの?手続きの流れをわかりやすく解説

CMで盛んに登場する「過払い金」という言葉を聞いて、興味を抱く人もいるのではないでしょうか。今まで長い間支払ってきた借金がある人の場合、払いすぎている分が返還される可能性を考えると、試しに調査してもらいたいと思うでしょう。では、過払い金返還請求を行う際にはどのような手続きが必要なのか、その流れをまとめて紹介します。

目次

過払い金請求を行う方法

過払い金返還請求をする場合は、主に2種類の方法があります。手続きの流れも違うので、まずはそれぞれを理解しておきましょう。
1つ目は、任意交渉による返還です。相談者に過払い金がある場合、手続きを請け負った法律事務所が受任通知を貸金業者に発送します。この通知を行うことによって、まだ返済中の人は返済・取立をストップさせることができます。貸金業者から取引履歴を開示してもらえるのは、受任から約1~3ヶ月程度です。その後取引履歴を基に、法定金利に引き直して計算を行います。ここでどれくらいの過払い金返還が期待できるかが分かるでしょう。そして貸金業者に返還請求を行い、交渉した後に合意書を取り交わして返還されるというのが一連の流れとなります。 
 
2つ目は、訴訟による交渉です。これは、弁護士の呼びかけに貸金業者が応じてくれないなどのトラブルも考えられるため、訴訟を起こして正式に返還を求めようという方法です。訴状を裁判所に提出した後、第1回口頭弁論が行われます。期日は1ヶ月に1回程度なので、話がまとまらなければその後も主張や反論を繰り返していきます。様子を見て裁判所は和解を勧告するので、それに応じて貸金業者と和解を提示して交渉します。話がまとまれば和解となり、まとまらなければ裁判所が判決を言い渡して解決となります。
過払い金返還請求は自力で行うことも可能ですが、法律のプロである弁護士に依頼することで、事を有利に進めやすくなるのは事実です。どちらの方法を選ぶかは人によって異なりますが、穏便に済ませたいのであれば、交渉によって話をまとめる方が良いとすすめられますし、訴訟を起こした上で返還請求をすることも可能です。自分にとって最善の方法を考えてみるだけではなく、担当弁護士に相談して請求方法を決めることも大切です。

手続きに必要な書類は?

過払い金返還請求を行う上で必要な書類は、弁護士に依頼するか、自分で請求するかによって異なります。
弁護士に相談する場合は、身分証明書と印鑑だけがあれば可能です。契約書などの書類をそろえる必要がなく、過払い金があるかどうかを調べるための無料調査も行ってくれます。契約書や取引履歴などは、受任後に貸金業者が開示してくれるので、相談者がわざわざ用意したり、通帳を見せたりしなくても良いのです。
それに対し、自分で請求を行う場合には、貸金業者との契約書や取引履歴、今までの取引が分かる明細をそろえなければなりません。そして、貸金業者に提示する過払い金返還請求書や、利息制限法に基づいて引き直し計算された計算書も必要です。中には、過払い金返還請求をする予定ではなかったため、今までの取引明細などを保管していないという人もいるでしょう。しかし、取引履歴さえあれば引き直し計算は可能なので、無理に5種類の書類をそろえなくても請求は可能です。取引している本人であれば、貸金業者に取引履歴を開示してもらうこともできるので、書類がそろわないからと諦める必要はありません。

依頼費用はどれくらいかかるの?

法律のプロである弁護士が味方となってくれれば、相談者にとっても心強いでしょう。面倒な書類集めもやってくれますし、貸金業者に対する交渉や裁判も請け負ってくれます。事を有利に進めるためには、弁護士への依頼が必要不可欠だと言っても過言ではないでしょう。しかし、依頼するとなると気になるのが弁護士費用です。法律事務所によって、また依頼する弁護士によって費用は変わりますし、まだ返済中で費用に余裕がない人の場合、過払い金請求をしたくてもできないという可能性もあります。では、過払い金返還請求の相場費用はどれくらいなのでしょうか。 
 
過払い金返還請求における費用は2種類あります。まずは着手金ですが、これは請求が成功するかどうかにかかわらず発生するものです。正式に依頼することになれば、弁護士は相談者の取引について調査を行い、様々な書類をそろえたり手続きをしたりしなければならないため、その手間賃と考えると良いでしょう。着手金の相場は様々ですが、1~2万円×消費者金融会社の数で金額を提示しているところが多い傾向にあります。中には、もっと着手金を低めに設定し、その代わり過払い金が返還された時の報酬を多めにもらうようにしている弁護士もいますし、着手金0円でスタートした後、終了後に報酬金+着手金で支払ってもらうようにしている弁護士もいます。
次に報酬金ですが、これは上限額が決められています。そのため、必要以上に多くの費用を請求されるということがないので、相談者も安心して弁護士に依頼できるようになるでしょう。
過払い金返還請求の報酬は「債務整理事件処理の規律を定める規程」というルールに基づいて決められており、報酬金を3種類に分けて規制しています。 
 
1つ目は「解決報酬金」と呼ばれるもので、依頼された事件が解決したことによって発生する報酬です。消費者金融1社あたり、2万円以下の金額にしなければならないと定められています。
2つ目は「減額報酬金」です。貸金業者が主張する借金額と、実際に債務者が支払うことになった金額の差をもとに報酬金を算出します。これは減額分の10%以下でなければならないと定められています。
3つ目は「過払金報酬金」です。返還された過払い金を基に報酬金を算出するのですが、任意交渉による回収は返還額の20%以下、訴訟による回収は25%以下と定めています。
この3つの報酬金を合計することで、上限額を導き出すことができます。貸金業者数が多ければ多いほど、また返還金が多ければ多いほど弁護士費用は高くなるので、少ない返還金で多額の費用を請求される心配はありません。

返還されないケースはどんなとき?

過払い金は、ローンを組んでいる人であれば誰にでも発生するわけではありません。正しい金利で計算されていれば過払いになりませんし、クレジットカードでの借入や銀行系との取引にはそもそも過払い金が発生しないのです。しかし、過払い金が発生しているにもかかわらず、過払い金が返還されないケースもあります。どんなケースが考えられるかをいくつか紹介します。
まずは時効が成立している場合です。債権は10年で消滅時効が成立するので、請求権を失ってしまいます。次に貸金業者が倒産していたり、請求に応じない違法業者を相手にするのも難しく、専門分野の弁護士でなければ過払い金請求すらできない可能性があります。

安心して任せられる弁護士を選ぼう

弁護士に依頼することで、面倒な手続きや必要書類の準備の手間が省けます。それだけではなく、貸金業者との交渉も行ってくれるのですが、解決するまでには時間も労力も必要です。弁護士は、問題が解決するまで一緒に戦っていく仲間となるので、安心して任せられるような人を選ぶことが大切です。無料相談や無料調査を行っている弁護士事務所もあるため、興味がある人は気軽に相談に行ってみると良いでしょう。

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