借金人生から立ち直るためのエクササイズ

人生は山あり谷ありです。ましてや昨今の先行きが不透明な情勢の中では、借金をどうしても返済できない状況に陥るかもしれません。そのような状況になった時、頭に思い浮かぶことは何でしょうか。法律の問題でしょうか。それとも金策の手立てでしょうか。借金問題を解決するためのケーススタディや法律上の用語を紹介していきます。

目次

真面目に働いていても借金人生になることがある

毎日勤勉に働いて、物心ともに豊かな生活がしたいと努力し、生きることに正直でありたいとごく普通の日常を送っている善良なサラリーマンが、突然の出来事をきっかけに、あれよあれよという間に借金人生に巻き込まれてしまうことがあります。

さらに言えば、真面目で正直で優しく精一杯に生きようとする人たちだからこそ、お金というやっかいな問題に巻き込まれてしまうのかもしれません。例えば、住宅ローン制度を利用して家を建てる場合、大多数の人は25年から35年といった長期返済契約を交わします。家を建てるほとんどの人が、この長期間の返済が可能であることを疑うことなく、マイホーム購入のためのローン返済を前提とした人生設計をしているはずです。

しかし、過去の日本の経済や社会の変化を見てみると、必ずしもそのような人生設計通りにいかないことがわかります。狂乱のバブル景気に日本中が浮かれ、そしてはじけました。それに伴い、土地神話が崩壊し、株価が暴落しました。また、自然災害により多くの人命だけでなく、住宅、車、船が失われました。自然災害により家や車を失ってしまうのは個人の責任の範囲を超えていますが、ローンの返済は一定のため借金人生に陥ってしまう人がいるのです。

冷静になることが出発点

人生の達人たちは「何事も経験だ」という言い方をよく使います。でも、世の中にはしなくてもいい経験があるのです。その最たるものが、借金の返済が不能な状況に陥ることではないでしょうか。債権者側は金融システムにおいても経験においても債権回収の手練手管を十分に備えています。

反対に多くの債務者は借金人生に陥った時、返済原資を稼ぐことができなくなり、経験がないため見通しを立てられずに、どうしたらよいかがわかりません。対処方法もわからずに、ストレスだけが日々膨らんでいきますが、それでもキリギリまで耐えるひとが多いです。海外の人たちは日本人のそのような我慢強さを敬服しています。インターネットで“借金”や“債務整理”などを検索すれば、あたかも今日にも借金問題が解決できるような情報があふれています。また、いかにも簡単にできるようにも書かれています。

しかし、素人が生半可な知識を使って債務整理に対応しようとすると、かえって傷口を大きくしてしまうこともあるのです。人間というのは、まだ現実に起きていないことや未経験のことに遭遇すると、不安や恐怖感を抱きます。簡単なことではありませんが、悩んだり迷ったりする前に、冷静に考えることが最も重要なのです。そのため、者金返済に関する知識を有している第三者の意見はとても貴重になります。

債務者が心がけるべきこと

第三者に相談したことによって、借金問題が解決する道筋が示されると、なんとか見込みがついたと安心し、債務者は積極的に解決に取り組もうと考えがちです。しかし、この段階にも落とし穴は潜んでいます。

独断独走して債権者に立ち向かってはいけません。「生兵法は怪我のもと」という言葉もあります。本人が良かれと思った言動が、かえって事を面倒にしてしまうケースもあるのです。くれぐれも、一歩一歩確認し合いながら進んでいくことが重要です。

さらに、債権者からの電話や文書による連絡も逐次確認しながら対処していくことも、結果的に事を上手く運ぶ要因になります。その他の落とし穴としては、人間としての情といってもよいかもしれませんが、自分が不利になる情報を隠してしまうことです。誰でも自分の恥は、あまり他人に話したくありません。借金人生に陥ってしまっても、すべてをさらけ出して相談するということは、なかなかできにくいものです。

しかし、本人にとてってはたいしたことはないだろうと思っていることが、実は重要なキーになっているというケースもあります。初対面ですべてを話すのは難しいので、何度も相談してお互いの信頼関係が深まるにつれて、すべてを話していくことを心がけましょう。

債権者との関係においては、一人のサラリーマンが金融機関と対峙すると考えると、大それたことをしでかすようなイメージもありますが、どんな巨大な組織でも、対応するのは一個人です。債権者は仕事上やむなく返済を迫っています。債務者が感情的になったり、泣き落としをかけたりしても問題は解決しません。

どこまでも冷静に当たることが大切なのです。最初のうちは冷静に対応していても、話をしているうちについ売り言葉に買い言葉の応酬になってしまうこともあります。しかし、感情的に衝突してしまっていては、まとまる話も壊れてしまいます。債権者との交渉がどのように進展したとしても、忍耐強くあくまでも冷静に対応できるか否かということも重要になるのです。

債権者から送られてくる文書

借金の返済が滞ると、債権者側からいろいろな文書が送られてきます。その文書には見慣れない法律用語が書かれています。それを見ただけで、初めて債権者と対応する債務者は恐れや不安を感じてしまいがちです。

例えば、借金は法律上「金銭消費貸借」となり、お金の貸し借りの契約を「金銭消費貸借契約」といいます。要するに実質的には「借用書」なのですが、「金融消費貸借契約書」と「借用書」は別物です。簡単にいえば、借用書は借主が署名し、貸主が保管します。金融消費貸借契約書は貸主と借主の双方が署名し、それぞれ一通ずつ保管します。連帯保証人がいる場合は、三者がそれぞれ署名し、写しを三者が各一通ずつ保管します。借用書は裁判の証拠になりえますが、返済が滞った時に、借主の財産を差し押さえることはできません。

差し押さえができるようにするには、借用書を公正証書にしておく必要があります。「遅延損害金」という言葉も、よく使用されます。借りたお金を返さなかった時の違約金のことです。通常の金利に上乗せされます。正常な金銭消費貸借であれば、「利息制限法」という法律により、金利の上限が定められています。

「期限の利益」という用語も重要です。「期限の利益」とは、借主が契約書で定められた期限までお金を借りられる権利のことです。つまり、借主は定められた期限まで返済しなくてもいいという権利を有しているのです。ここで、金融消費貸借契約書に記載されている支払日が重要になってきます。

「一回でも不払いの時に期限の利益を失う」と記載されている場合は、一回で「期限の利益」が消滅してしまいます。通常は、温情的配慮で3か月は待つようです。しかし、4か月不払いが続くと、事務的に期限の利益喪失ということで債権を譲渡されたり、一括全額返済を請求されたりします。債権者側から送られてくる文書の形式はさまざまです。債権者側から送られてくる文書に押し切られることはありません。

債務者側からもきちんと意思表示をしていくことが大事なのです。

まとめ

債務者は借金さえ返済してしまえば、それですべてメデタシだと捉えないようにしましょう。長年、借金人生に苦しんできた人が借金問題の解決に至るだけでなく、新たな人生の再生と再出発を果たしてこそ、本当に問題が解決したといえます。またそれは、健全な社会生活を営んでいくための基本でもあります。

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