破産した人はお先真っ暗なの?自己破産の不安点を一挙解決!

借金が返すのが困難な人のために用意されている制度が債務整理です。その内、最終手段となるのが自己破産です。

自己破産した人は、その後の人生に暗い影を落とすというイメージを持つ人は多いかもしれません。ここでは、自己破産という制度についてと破産後の影響について解説します。債務整理を考えている人は参考にしてみてください。

目次

自己破産手続きとは

自己破産とは裁判所に破産を申し立て、借金額と収入額を考慮した上で支払い不能状態にあることを認めてもらう手続きです。破産宣告をしただけでは、借金はなくなりません。

破産宣告は法律で「破産手続開始の決定」と言います。決定を認めてもらうために申立人は裁判官に収入や財産などを明示し、支払い不能状態にあるのを証明することが必要です。

破産手続開始の決定がなされたら、残債の支払い義務を免除してもらう免責許可をもらいます。許可が下りると借金は白紙に戻ります。

弁護士に依頼した場合は書類集め等に1ヶ月ほど要し、さらに裁判所から免責許可決定が下され、それが法的に確定されるまでに1ヶ月かかるので、合わせて数ヶ月の期間が必要です。ただし、これは同時廃止の場合です。

同時廃止とは、申立人が破産手続に必要な費用を持っていない場合に適用される手続きを指します。東京地裁の場合は現金33万円以上、もしくは資産価値20万円以上の物というのが目安です。明らかに資産がなく、調査不要と判断されると、破産手続開始決定と破産手続、免責手続きが同時に行われます。

一方、申立人に資産がある場合に取る手続きは、少額管財です。裁判所が指名した弁護士などの破産管財人が財産をどのくらい保有しているか、免責不許可事由があるかどうかを調べるために、6カ月ほどの期間を要します。

なお、免責不許可事由は、浪費行為があったり破産手続前に特定の債権者だけに返済したり名義などを偽って借金したりと、不誠実と思われる行為があるケースが当てはまります。

自己破産しても帳消しにならないお金

自己破産が法的に認められると、債権者からの取立てがなくなるため、精神的な負担が減る人が多いです。なお、弁護士に手続きを依頼した場合は即座に債権者へ手続開始を知らせるので、依頼日に取り立てがストップします。

借金がなくなっても、国税に地方税、国民健康保険などの税金や保険料は支払い続けなければいけません。また、滞納していた分の税金等も支払い免除にはなりません。さらに、罰金や追徴金、養育費などが科せられている人も支払う必要があります。分割払いに応じてもらえますから、税金などの支払いが困難な場合は税務署などに相談しましょう。

それから保証人付きの債務の場合、申立人の借金は白紙戻りますが、保証人の支払い義務はなくなりません。ですから、保証人に迷惑をかけないためには自己破産手続きをすることを伝え、保証人を含めて債務整理する必要があるでしょう。場合によっては、保証人も自己破産手続きが必要です。

自己破産後に残るもの、残らないもの

自己破産後は、基本的に資産は売却され、その分のお金は返済に充てられます。ただし、総財産が99万円以下のお金や、洋服、家電製品などの生活必需品と思われるものは手元に残ります。
年金の差し押さえは法律違反のため、年金は受け取れますが、口座が凍結される場合は別口座を作りましょう。また、生命保険の解約返戻金額やアパートの敷金なども財産に含まれるので、注意が必要です。

自己破産で売却されるものの代表的な例を挙げると、不動産や車などです。したがって、賃貸住宅であれば基本的に住み続けられますが、持ち家の場合は任意売却されたり競売にかけられたりします。任意売却か競売かは、破産者が選択できます。転居費用の負担を交渉しやすいとされている任意売却の方がベストな選択かもしれません。

任意売却や競売が決まっても、即座に撤去しなければいけないわけではなく、買主に引き渡すまでは住むことが可能です。新居は賃貸住宅になるでしょうが、自己破産についての情報が不動産業者に渡ることはないため、定職があれば審査に落ちることはないでしょう。

自己破産後のクレジットカードやローン審査はどうなる

自己破産後は5~10年間ブラックリストに載るので、新たにクレジットカードを作ったりローンを組んだりできなくなります。ブラックリストとは、信用情報機関であるCICとJICC、全銀協が記録する事故情報のことです。事故情報は自己破産した情報や、返済が滞った情報などを指します。

CICとJICCでは自己破産の情報を5年間、全銀協は10年間保管しています。クレジットカード会社によっては全銀協に加盟していなかったり全銀協の情報は照会しなかったりするので、10年間クレジットカードが作れないということはないですが、最低5年間は作れません。

全銀協の情報を照会する企業は、銀行系クレジットカード会社や住宅ローン会社などと言われています。信販系や流通系などのクレジット会社であれば、5年経過すれば作成できるでしょう。
正確な情報保管期間を知りたい場合は、個人信用情報の開示請求が可能です。CICとJICCはインターネット請求ができ、全銀協は郵送のみの請求です。

それから、クレジットカードの作成は無理でも、借金にならないデビッドカードや電子マネーカードの作成はできます。さらに、住宅ローンを組むことも不可能ではありません。

住宅ローンの審査で重要なのは、頭金の額です。例えばブラックリストに載っていて、3,000万円の住宅ローンの内、2,000万円の頭金を用意すれば審査に通る確率は高くなります。銀行が3,000万円の価値がある住宅に抵当権を付けておけば、返済が滞った場合でも住宅売却金で融資金額の1,000万円は最低でも戻ってくると予想できるからです。

また、大手銀行を避けて地方銀行で審査を受けるのが得策という意見もあります。もちろん、正社員として安定した給料を得ていることが前提です。結婚しているのであれば、夫か妻、どちらかが正社員であれば問題ありません。審査で注目されるのは、年収だけでなく、勤続年数も含まれます。

自己破産をするのに、2,000万円の頭金を用意できるわけがないと思う人もいるかもしれませんが、配偶者が婚姻前に貯めていた資産については自己破産でも処分されないため、不可能ではないでしょう。しかしながら、資産隠しのために破産申し立て前に口座の名義を変えたり預貯金を移したりしても、露呈してしまう確率が高いので注意してください。

自己破産後の仕事

自己破産しても、通常は周りに知られることはありません。しかし、持ち家が競売にかけられている状況を見て噂が流れる可能性はあります。それに、自己破産情報は官報に載るため、調べようと思えば調べられます。とはいっても勤め先に知られる可能性は低いですし、自己破産が理由で解雇されることはないので心配は不要です。

職探しをしている場合でも、面接先企業に知られる確率は低いです。履歴書に書く必要も、口頭で伝える必要もありません。また、戸籍などに情報が載ることもないです。ただし、免責許可が下りるまでは弁護士や会計士などの司法系と会計系の士業や旅行業、警備員など、一部の職業に就くことは禁じられています。

まとめ

破産した人の生活は意外と暗い影を落とさないものだと感じた人は多いのではないでしょうか。借金の返済に苦しみ、追い詰められて生活している人のために用意された救済制度ですから、明るい未来が開かれていると言ってもいいでしょう。最終手段の自己破産は容易に利用する制度ではないものの、返済能力がない場合は選択肢の一つに入れてみてください。

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